「3年ファッション課題と未知化するMAU COLLECTION」
物が溢れる現代では物より体験、事に消費が移行していると言われています。又、SNSの普及によって情報が価値を持ち様々な知識やエンターテイメントはオンラインで配信可能です。この状況を考えるだけでも物に裏付けされた20世紀的価値観を再考する必要はあるでしょう。そこにコロナ禍によって自宅待機を余儀なくされ物作りの環境は縮小されたと感じ、発表の場も失ったと歎いている人もいます。それはコロナ禍によって時代は早送りされ、手つかずの問題が顕在化したと捉える事もできます。成功体験に支えられた産業構造に従い衣服作りからステージワークという範囲にあるファッションの学びを差異化における情報価値と捉え特定の産業内に留めず他の分野とも共有する価値の発信源になると考えています。
この授業では、自宅という限定された空間とそこに存在するグッズや自作と身体の関係やメディアの影響を写真や映像に反映させ、ZOOMを通じたセッションによって再認識から発見に至る事を目的にしています。それと同時にインスタグラムに投稿する事で他者の写真との関係から自己を再確認し尚且つメディアの特性と効果を学ぶ事もできます。これらの経験を踏まえ数ヶ月後のMAU COLLECTIONというファッションショーを考えます。
所が、ここにもコロナ禍は問題を投げかけています。しかし、同時にチャンスもあります。人が密集するショーは不可能というネガティブ状況で、日常に埋没してしまう人の行動にも新鮮な驚きを見出す機会になるかもしれません。自己とは自分が存在してきた歴史と同時に今、立ち会っている空間との関係によって現象として現れます。それは同時に空間の一端を知る事にも繋がり広義に捉えれば世界や異文化に思いを馳せる機会にもなります。例えば支配的な性格を持った空間では人の衣服や行動まで限定されます。逆に性格の無い空間では人の自由な行動やファッションが場の雰囲気を形成します。はたしてショー会場として予定しているムサビのZERO SPACEは使用可能なのか、いや、そもそもショー会場とは何か、どこまでがファッションなのか、それらの事にも踏み込み学ぶ良い機会だと捉えています。
空間演出デザイン学科ファッションコース教授 :津村 耕佑
コメント
なんと片道3時間の学生も!毎日が小旅行気分ですね!